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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
「だ、だから!…俺はべ、別にあんた…じゃなくて…暁様を好きと言った訳じゃ…!」
真っ赤になって反論する泉を、ふふ…と笑い、暁は腕の中の薫の小さな可愛らしい手にキスをする。
「…以前、月城にも薫くんが僕に似ていると言われたことがあります。…そうだと嬉しいな…」
しみじみと呟く横顔に不意に艶が増し、暁は今、兄のことを考えているのだと、泉は思った。
…何だか、面白くない…。
泉は押し黙る。
「私もそれを願うわ。…薫には飛び切りの美少年に成長して欲しいもの」
光が少し戯けて言い、二人は朗らかに笑った。
「…薫様、お待たせいたしました。離乳食のお支度が整いましたよ。さあ、お食事のお部屋にまいりましょう。
…まあ、奥様!暁様も…!」
乳母の福が二人に気づき、慌てて膝を折りお辞儀をする。
「いいのよ、気にしないで。…今日は私が薫に離乳食を食べさせるわ。…暁さん、小客間でお待ちになっていて。
後で、お茶をご一緒しましょう。お帰りになっては嫌よ」
「…分かりました。ゆっくりいらしてください」
薫は光に抱かれながら、暁にバイバイをする。
暁は思わず微笑み、手を振り返す。
光と薫と乳母が去り、子供部屋は二人きりになった。
泉はそわそわし始める。
…暁様と二人きりになるなんて、久しぶりだ…。
暁からは何処だかは分からないが異国の花めいた切ない薫りが漂う。
暁が泉の方を向き直る。
「…仕事は慣れた?」
「は、はい…」
「使用人たちとは上手くやっている?」
「はい…」
「生田は?さっき聞いたら、良くやっています…て。でも、言葉遣いがまだまだです…て言ってたけれど…」
泉がぶすっとする。
「なんだよ、あんた。俺に会うと母さんみたいに心配ばかりしてさ!…あ…!…あ、暁様は…その…」
暁と泉は貌を見合わせて吹き出す。
「…やっぱり言葉遣いはまだまだたね」
泉は頭を掻いて苦笑いする。
「…ねえ、母さんて言ったけど、お母様はお元気なの?」
「…はい。…妹と二人、田舎の漁村で小さな定食屋を始めたんですけど、元気にやってますよ」
兄が仕送りしたお金で小さな食堂を始めた母親は、常客も着いて生き生きと働いている。
妹の凛は看板娘として店に出ている。
美少女の凛は、村の若者達の憧れの的だから店はいつも繁盛しているらしいのだ。
「森のお陰だよ…」
母親は口癖のように呟く。
真っ赤になって反論する泉を、ふふ…と笑い、暁は腕の中の薫の小さな可愛らしい手にキスをする。
「…以前、月城にも薫くんが僕に似ていると言われたことがあります。…そうだと嬉しいな…」
しみじみと呟く横顔に不意に艶が増し、暁は今、兄のことを考えているのだと、泉は思った。
…何だか、面白くない…。
泉は押し黙る。
「私もそれを願うわ。…薫には飛び切りの美少年に成長して欲しいもの」
光が少し戯けて言い、二人は朗らかに笑った。
「…薫様、お待たせいたしました。離乳食のお支度が整いましたよ。さあ、お食事のお部屋にまいりましょう。
…まあ、奥様!暁様も…!」
乳母の福が二人に気づき、慌てて膝を折りお辞儀をする。
「いいのよ、気にしないで。…今日は私が薫に離乳食を食べさせるわ。…暁さん、小客間でお待ちになっていて。
後で、お茶をご一緒しましょう。お帰りになっては嫌よ」
「…分かりました。ゆっくりいらしてください」
薫は光に抱かれながら、暁にバイバイをする。
暁は思わず微笑み、手を振り返す。
光と薫と乳母が去り、子供部屋は二人きりになった。
泉はそわそわし始める。
…暁様と二人きりになるなんて、久しぶりだ…。
暁からは何処だかは分からないが異国の花めいた切ない薫りが漂う。
暁が泉の方を向き直る。
「…仕事は慣れた?」
「は、はい…」
「使用人たちとは上手くやっている?」
「はい…」
「生田は?さっき聞いたら、良くやっています…て。でも、言葉遣いがまだまだです…て言ってたけれど…」
泉がぶすっとする。
「なんだよ、あんた。俺に会うと母さんみたいに心配ばかりしてさ!…あ…!…あ、暁様は…その…」
暁と泉は貌を見合わせて吹き出す。
「…やっぱり言葉遣いはまだまだたね」
泉は頭を掻いて苦笑いする。
「…ねえ、母さんて言ったけど、お母様はお元気なの?」
「…はい。…妹と二人、田舎の漁村で小さな定食屋を始めたんですけど、元気にやってますよ」
兄が仕送りしたお金で小さな食堂を始めた母親は、常客も着いて生き生きと働いている。
妹の凛は看板娘として店に出ている。
美少女の凛は、村の若者達の憧れの的だから店はいつも繁盛しているらしいのだ。
「森のお陰だよ…」
母親は口癖のように呟く。