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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第14章 Coda 〜last waltz〜
同時に達したあとも二人はいつまでも抱きあい、くちづけをやめることはなかった。

窓辺から波の音が、心地よい音楽のように流れこむベッドの中…。

月城は暁を抱きしめ、愛おしげに髪を撫でる。
幾度くちづけしても、したりないような切ない想いに駆られる。
…何年も…十数年以上も…こうして数え切れないほどに愛し合っているのに、飽きることも色褪せることもない。
いや、むしろ暁への執着は増すばかりだ。
驚くほどに変わらない上質な絹のような肌や、常に夜の湖のように潤んだ黒い瞳や…思わず見惚れてしまいそうな精巧な人形のような優美な目鼻立ちや…。

…だがそれだけではない。
暁の魅力は美しい容姿だけではない。
その瑞々しい感性や…男に抱かれながらも、その実、男を凪いだ優しい海のように包み込み、理解し赦す慈愛の心…。
…それこそが、暁の一番の魅力なのだ。
月城が何よりも愛する暁の心なのだ…。

見下ろす月城の眼差しと見上げる暁の眼差しが、静かに交錯する。
暁は密かに咲いた蓮の花のように、しっとりと微笑った。
「…ねえ、海を見に行こう…。夜の海を…」





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