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溺れる金魚
第20章 ほどける心
「……何か、勘違いしていないか?」
たじろぎながらも顔を覗き込んで伺う。
「嘘。前に車の中で真珠のピアス見付けました……」
一瞬瞠目し、それから何かを思い出したのかくくっと彼が笑いだした。
「それ。いつ?」
「結婚、したばかりの頃。です」
「やっぱり。それ、さ。君のお母さんのだよ。家に来たその帰りを偶然見掛けて一度乗せて駅まで送ったことがあるんだ。その時に落としたみたいで聞かれたけど見当たらなかったから、てっきり……。ふふ、くっくく。そうか。それで勘違いしてずっと存在もしない相手に焼きもちやいていたのかい?」
ああ、何て愛おしい生き物が腕の中に。
「……本当に?居ないん、ですか?」
「当たり前だろ?そのピアス、会長から結婚記念日に貰ったのだからって落ち込んでたよ。だから、君から返してあげると良い」
たじろぎながらも顔を覗き込んで伺う。
「嘘。前に車の中で真珠のピアス見付けました……」
一瞬瞠目し、それから何かを思い出したのかくくっと彼が笑いだした。
「それ。いつ?」
「結婚、したばかりの頃。です」
「やっぱり。それ、さ。君のお母さんのだよ。家に来たその帰りを偶然見掛けて一度乗せて駅まで送ったことがあるんだ。その時に落としたみたいで聞かれたけど見当たらなかったから、てっきり……。ふふ、くっくく。そうか。それで勘違いしてずっと存在もしない相手に焼きもちやいていたのかい?」
ああ、何て愛おしい生き物が腕の中に。
「……本当に?居ないん、ですか?」
「当たり前だろ?そのピアス、会長から結婚記念日に貰ったのだからって落ち込んでたよ。だから、君から返してあげると良い」