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溺れる金魚
第24章  極甘な夜
他の誰かとの結婚なんて……。


自分の相手が佐野ではない、というより佐野の相手が自分でないと想像するだけで心が冷えた。


よそう、見えない……在りもしない人に嫉妬なんて、と微かに笑んだ。


先週、友人の沙保里と会う機会があった。

わざわざこちらから、佐野と躰の関係を漸く持つことが出来たとどんな顔で報告すれば良いのかと思案していたところに待ち合わせでやって来た彼女は、紗良の顔を見るなり言い当てた。



「もしかして、した?」と。

それほど、幸せが顔に出ていたのかと、その時は恥じらいながらも驚いた。



でも、今なら自身でも分かる。

幸せなのだと。


気持ちが満たされている。



あれから、ほぼ毎日……。


彼が出張で不在の日以外、紗良は彼に抱かれていた。
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