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溺れる金魚
第24章  極甘な夜
紗良はずっと緊張してそのレストランでフォークを落としてしまい余計に萎縮してしまった。


そんな苦い思い出。



「あそこから、やり直したい」

彼の言葉に、はっと我に返った。

「あの時、君も緊張していたのかもしれないけれど、俺も君が年の離れている男との結婚を受け入れてくれるのかと不安ばかりで、君に自分の気持ちを晒すのが怖かったんだ」


紗良の方に顔を向け、握る手がいっそう強くなった。

「私も、嫌われたらどうしようってそればかりで一杯一杯でした」



あの時は、家に迎えに来てくれて一緒に映画を見て、それからの食事だった。


緊張し過ぎて紗良の見たかった映画だったはずなのに、タイトルも内容もすっかり忘れてしまったのだけれど。
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