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溺れる金魚
第24章  極甘な夜
「薔薇、ですね」



そっとすくって両の掌に乗せて佐野に見せる。

その仕草が何とも言えず愛らしい。


「……それ、写真に撮っても良い?」

「ええ、可愛いですよね」


君がね、と心の中で呟きスマートフォンを彼女にかざす。


あれから、こうして何かと理由をつけては彼女を堂々と自分のスマホの中へと閉じ込めていた。



もう、隠し撮りではないから、スマホの中に入っている写真は彼女の前でも堂々と見返していた。

「崇志さんって本当に写真好きですよね」



彼女の無垢な心は、佐野のここに至るまでの真相になど辿り着くことは決して無い。


あのパソコンの中に収まる写真もいずれは彼女の前で堂々と見たいと、佐野は思案していた。
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