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溺れる金魚
第25章  嫉妬と溺愛
多分、周りからは妻というより、誰かの娘として参加したと思われているに違いない。




出張はいつも秘書と、と言っていた。

つまりは彼女と……。



ううん、大丈夫。



彼は、私のことを愛してくれている。



それでも、ここではない土地で彼女と二人きりになれば間違いが無いとは限らない。

どうしたって紗良の指先には不安や嫉妬といった醜い気持ちが漂っていた。



……よそう。

大丈夫だから、彼を信じよう。



そう思って視線を逸らすと、少し離れた所に同じく窓辺に佇む女性が真っ青になりながらも無理矢理立ち続けていた。



辺りを見回したが、彼女の異変に気づいているのは紗良しかいなかった。



不安気にその人に近付く。
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