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溺れる金魚
第25章  嫉妬と溺愛
「ああ、ごめんなさい。彼が溺愛するのも無理がないと思って。あまりに可愛らしいから」

「……え?」


溺愛、と言ったように聞こえた。


確かに溺愛されていると自分でも自覚できる。



でも、彼がそれを外で見せるなど想像がつかない。

「……あの、それはどういう意味ですか?」



まだ、笑いが治められずにふふふと笑いながら彼女は説明し始めた。



「ごめんなさい。実はあなたのご主人と私の夫が親友でね。二人で飲む度に酔うと決まってあなたの可愛さ自慢をするんですって」

「……え?」


一瞬にして頬が熱くなる。


「まず、名前からして可愛いって。さのさらって四文字なんだって。帰って私に話す主人の呆れ顔が忘れられなくって」



そう言ってまた、くくくと堪えるように笑い出す。
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