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第5章 　熱いキスを

知らなかった。キスがこんなに気持ちの良いものだということを。




躰の奥がもぞもぞと落ち着かない。


落ち着かないけど気持ち良い……。



もっと……されたい。

……して、欲しい。



彼の舌の熱さに紗良は当てられた。


自分がこんなにいやらしい人間だと思わなかった。

何て、はしたない。



だけど、抵抗できないくらいに気持ち良い……。


もっと……欲しい。



ぎこちなく彼女の方から彼の舌に絡めていく。

「あぁ……ああ、紗良……」



そのキスだけの行為にすら紗良は興奮していた。

彼の背中に隙間から手を入れて出来る限り抱き締める。



自らの体重を掛けないよう心掛けたが、彼が引き寄せてそれは叶わなかった。



病人にこんなこと……。



いけないと分かっていても、身体が言うことを聞いてくれない。




もっと……もっと、欲しい……。