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溺れる金魚
第7章 友と
「うん、まぁ、ね。行き先が揉めに揉めたけど」
それを思い出しながら苦く笑ってはいたが、それすら紗良には羨ましかった。
揉めるほどの会話すらない。
新婚旅行にだって結局は行かなかった。
あの冷淡な眼差しで「行きたいのか?」と問われれば「どちらでも」と言うしかなかった。
彼は数ヵ月に一度は出張で一週間程不在になる。
行き先は支店のある仙台であったり、大阪であったり、全くの別の場所であったり。
ただ、それすら本当に仕事なのかも分からないが、紗良には問いただす勇気すらなかった。
もしかしたら、愛人との旅行なのかもしれないと、何度不安になったことか。
彼はそんなことも知らないのだろう。
それを思い出しながら苦く笑ってはいたが、それすら紗良には羨ましかった。
揉めるほどの会話すらない。
新婚旅行にだって結局は行かなかった。
あの冷淡な眼差しで「行きたいのか?」と問われれば「どちらでも」と言うしかなかった。
彼は数ヵ月に一度は出張で一週間程不在になる。
行き先は支店のある仙台であったり、大阪であったり、全くの別の場所であったり。
ただ、それすら本当に仕事なのかも分からないが、紗良には問いただす勇気すらなかった。
もしかしたら、愛人との旅行なのかもしれないと、何度不安になったことか。
彼はそんなことも知らないのだろう。