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溺れる金魚
第7章  友と
時間はあっという間に流れていき、二次会へと移行する為会計を済ませて店を出る支度を始めていたときだった。



紗良のスマホが静かにカノンを流す。

画面には夫の名前。



「お熱いわね。早く帰ってきてコール?」

友人が茶化す。



そうであったなら、どんなに幸せだろうか。



「もしもし?」

『今どこだ?仕事が終わったから、これから迎えに行く』



内容だけ聞いていたら、妻思いの素敵な旦那様なのだろうが、実際には違う。





多分、信用されていないのだ。

餌も与えられずにただ飼われているだけ。




それなのに、何か間違いがあったときに彼が会社を追われない為に。









ただそれだけの事なのだろう。
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