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溺れる金魚
第13章  記憶の無い朝
……それにしても。



夕べの夢は随分とリアルで肌の感触までも艶かしい。


まるで本当に抱いたかのような満足感が手の内にあった。




その掌をじっと見詰めていた。

この手で彼女の乳房を揉み、一番恥ずかしい場所を抉っていやらしい汁を掻き出した。




その時の啼き声までもが簡単に甦る。

夢にしては随分とリアルで都合の良い。



『 崇志さ……ん……大好き 』


『崇志さんの、が……欲しぃ……』




ふっと笑いがこぼれる。

今まで一度たりとも名前で呼ばれたことなど無いのに。



全ては、馬鹿げた妄想だ。

絶対に現実ではないと分かっているのに、艶かしい彼女の姿を思い出すだけで、そこが固さを増す。




「……あ、おはようございます」


リビングのドアがかちゃりと開き彼女が顔を覗かせる。




今朝の彼女は頬が上気して色っぽい。






そう思った。
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