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美肉の狩人
第1章 絶望の中で見つけた獲物 香織
 しばらく、獲物を物色した。いざとなると、食欲がわかない。不思議なもんだ、子連れの女に欲情しないっていうのは、ある種、牡の本能なのかもしれないな、そう思ったとき、幼い娘の手をひいて、若い母親が向こうから歩いてきた。
 長い黒髪、日よけの麦わら帽子の下の整った顔立ち。幸せそうな笑顔を、こちらに向けて、「こんにちは」と軽く頭を下げてくる。手を引かれた、幼い娘も片言で「こんにちは」と舌足らずにまねをする。
 この女は、すれ違う誰しもが、自分と同じように幸せだと信じているのだろう。そのくせ、挨拶を返した俺のことなど、通り過ぎた途端に忘れて、娘になにか話しながら歩き去っていく。その屈託のない笑顔が、妙に腹立たしい。シルクのシャツにケーブルニットを重ねたスレンダーなうしろ姿を見つめながら、ゆっくりと俺は立ち上がった。
 女は膝丈のフレアスカートの裾を引っ張る娘に、おどけて、ふらついてみせながら、公園を出口へと向かっていく。そして道路を横切って、すぐ向かい側の戸建て住宅に入った。
 「恵まれた家庭の奥様ってやつか」、そう思いながら煙草を取り出す。出口の車止めに腰掛けて火をつけ、深く煙を吸い込む。洒落たフェンスに沿って等間隔に植えられた生垣。よく手入れされた花壇と芝生。間違いなく専業主婦だ。
 静かな住宅街の午後。子どもたちの歓声が遠のくと静かなものだ。しばらくすると、バスルームらしいルーフ窓からシャワーの音と子どものはしゃぐ声が聞こえてくる。
 その無防備さに苦笑しながら煙草を揉み消す。俺は敷地に足を踏み入れた。ドアの取手を握って、ゆっくりと引いてみる。案の定、鍵をかけていない。それに、通りには人影もない。
 「別にみられたって構わないさ。どうせ、半年だもんな。」
 そんなことを考えながら玄関に足を踏み入れた。靴を脱ぐ。上品なわけじゃない、足音を気にしただけだ。
 もちろん、子どもの声が漏れてくるバスルームは素通りする。次のドアはトイレだろう。その向い側がキッチンか。そんなことを考えながら、突当りのドアを開ける。キッチンとひと続きの広いリビングだ。
 窓から、カーテン越しに日差しが差し込んでいる。締めきっているのに暑くないのはエアコンのおかげだ。おあつらえ向きに、リビングの一部が吹き抜けになっていて、二階への階段まで室内にある。とりあえず俺は、キッチンに向かった。
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