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第2章 私はアリサ

毎日私はカイトと話しをしていた。

カイトの夢は料理人。
美味しいものをお腹いっぱい食べさせてみんなを幸せにしたいと言っていた。
カイトの家は父親は無職で母親が働きに出ていたが、ギャンブルと酒好きな父親の借金に消えていて、いつもお腹を空かしていて、空腹だと食べ物の事しか考えられずに、食べ物のためならなんでもしてしまうようになっていた。

「俺のオヤジは料理人だったんだ。でも腰を悪くして厨房に長い時間立っていられなくなって辞めちゃったんだ。オヤジは料理しかできなくて。最初はいろんな仕事をしたらしいけど続かなくて、どんどんダメ人間になっていったんだ。そして朝から酒を呑んで俺に当たり散らしたりして。何度も警察が家に来てな。母さんに暴力振ったりして。とうとう母さんは家を出て行きオヤジと二人きりになると、ますます暴力的になって…俺…殺されかけたんだ。その時のオヤジの目が…怖かったよ。」

カイトは拳を強く握っていて、今にも泣きそうなカイトに私は何も言えなかった。

カイトも重いものを背負ってるんだな…

私はカイトの拳に手を乗せて、強く握られた拳を撫でると次第にカイトの拳の力は緩み私の手を握っていた。