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住み込みメイドのエッチなお仕事。
第14章 心のベクトル
昭彦は焦らなかった。
ゆっくりと時間をかけ、涼子に少しずつ近く。希望を伝え、許可を待ち、行動を促し、涼子の意思で昭彦の希望を受け入れるのをじっと待つ。

焦るな…焦ったらダメだ

涼子に触れたい欲が溢れるのを抑え込み、昭彦は静かさを保ちながら涼子の側にいる。

フラッシュバックするのか、突然ガタガタと身体を震わせ涼子が泣いても、泣き疲れて眠るまで、昭彦はずっと静かに涼子の側にいた。






軽井沢の別荘に来てからひと月が経とうというころ、ソファーで眠る涼子の横で本を読んでいた昭彦に、買い物に出ていた櫻井が新聞を差し出した。

「なに?」
「貴俊様がご活躍です」

新聞を開き、昭彦はにやりと口角を上げた。一面に【祠堂コーポレーション倒産危機】の文字が踊っている。

「仕上げはいつだって?」
「お戻りは来週末の予定と」
「予定より時間がかかったな」
「徹底的にやると仰っておりました」
「はぁーん」

楽しそうな貴俊の顔が脳裏に浮かんで、昭彦はくすくすと笑った。

涼子の情緒も安定して来たし、色々考えているだろう事は想像に難くない。何を考えているのかも、おおよその想像はつく。

「こっちも、そろそろかな…」

俺から離れるとか、許さないからな

呟いて、眠る涼子の髪にそっと口付けを落とす。涼子の眠りは、穏やかだった。

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