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住み込みメイドのエッチなお仕事。
第14章 心のベクトル
真綿で優しく包むような優しさだ、と涼子は思う。昭彦も、そして櫻井も、一定の距離を保ちながら涼子の側にいる。何も言わず、何も聞かず、何も触れず、ただ静かに見守ってくれている。

甘え、すぎだよね…

身体の傷はとうに癒えている。時折思い出しては辛くなるが、頻度も減り、気持ちの切り替えもできるようになった。短期間でこんなに自分を取り戻せているのは、昭彦と櫻井の優しさのお蔭だ。

ゆっくりと森の中を散策するのが日課になっている。繋がれた手の先、昭彦は何も言わない。手を繋ぐ以上には、涼子に触れることはない。

私は…汚いから…

毎日のように涼子を抱きしめてくれた腕は、もう涼子に触れてはくれない。触れてほしいと思う、その反面、触れてはいけないと思う。レイプされ汚れた身体に、昭彦は触れたくはないだろうし、触れたら昭彦を汚してしまう。

ご奉仕も、できないんじゃ…お仕事にならないよ…

ご主人様に性的なご奉仕をする仕事。その大義名分があったから、涼子は昭彦に抱いてもらえたのに。唯一、昭彦と涼子を繋ぐ理由すら、もう続けられない。初めは、レイプされた痛みに苦しんで流した涙も、今は昭彦の側に居られない苦しさに代わっている。

メイドだから、そばに居られたのに…

汚れてしまった身体を、抱いてほしいなんて言えない。好きだと思う感情だけでは、もうそばには居れない。

潮時…だよね

正直どれだけ時間がたったのかはわからない。けれど、本来忙しい昭彦を束縛し続けるわけにはいかないと、涼子は思った。
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