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第4章 優しい人達とお仕事の心得

同じお仕事をするメイドは、もう1人居るのだと律子は言った。

「澄子さんと言ってね、28歳の方なんだけど、お客様に見初められてお妾さんになるのが決まったから、涼子と入れ替わりで辞められるのだけどね」
「お客様に、ですか？」
「そういうこともある、のよ。このお仕事は続けても大抵は30歳くらいでお辞めになるみたいだけど」

30歳……

そんなに長く続けられるのかな、とお茶を飲みながら考えていた涼子の肩を、サラがぱんぱんと叩いた。

「涼子は最年少だから暫く忙しいわよ！頑張ってね！」

グッと親指を立ててウインク。

サムズアップされてもね！？

涼子は、内心冷や汗をかきながらも、はは と乾いた笑いを返すしかなかった。


律子、敦美、サラの3人は、これから温泉宿に泊まりに行くのだと言った。ご主人様方は今日から2日間、皆様いらっしゃらないので、オフなのだそうだ。

「今度は涼子も一緒に行きましょうね」
「はい、是非！」

食堂を出て行く3人を見送って、優しい人ばかりで良かった、とホッと息をついた。