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住み込みメイドのエッチなお仕事。
第5章 大人のおもちゃのお勉強
その部屋は、ドアがある壁以外、一面が鏡だった。天井まで鏡になっている。

ま、まさか、これに写しながらするの!?

「さようでございます」

櫻井が頷く。

「こ、声に出てましたか!?」

涼子が慌てて口を押さえると、櫻井は いいえ、と首を横に振った。

「お顔に書いてあります」
「そ、そうですか……」

なんだか無性に恥ずかしい、と涼子は赤くなっているだろう顔を手でパタパタと仰いだ。

「こちらへ。鏡の前に立ってください」

言われた場所に立った涼子の後ろに、スタンドミラーを持った櫻井が立つ。

「後ろ姿が見えますか?」
「はい」

涼子が頷く。

「お仕事の練習に入る前に、涼子さんの立ち位置をご認識いただきたく思います」
「立ち位置、ですか?」
「はい」

櫻井が頷く。

「涼子さんはお仕事され、お給与が支払われます。ご主人様に雇用されている状態です。つまり、ご主人様は社長であり、我々は従業員ですが、メイドは商品でもあります」
「商品?」
「はい。お仕事にお客様のお相手もあるとご説明申し上げました。お客様は相応の対価をお支払いの上、メイドを抱きにおいでになります」

鏡に映るご自身をご覧ください、と櫻井は続けた。

「例えば、律子さんは、どのように見えましたか?」
「律子さん、ですか?」

キリッとした美人で、身長の高く、キャリアウーマンみたいに見えた。涼子がそう答えると、櫻井はそうですね、と頷いた。

「実際、律子さんをご指名になるお客様の中には、スーツのコスプレをご要望になる方もいらっしゃいます」
「あー…」

なんとなく納得する。

「男性が涼子さんを見て抱く印象を知り、そのようなイメージを大事に、より生かす意識をお持ちください」
「私の、印象ってどんなのですか」
「それは私からは申し上げません。ご主人様やお客様がおっしゃる言葉をよく思い出しながらご自身で理解してください」


難しいことを言う、と涼子は思った。
高校の頃付き合った彼氏は、涼子を可愛いと言ってくれた。でも高校生の語彙はそこまでで、印象を示す言葉などは言われたことがない。

そういえば、旦那様は清楚に見えるとおっしゃったな、と思い出す。清楚に見えて淫乱だと……

いやいや、私が淫乱だなんてそんな…

思案顔をしたかと思えば顔を赤くする涼子を、櫻井は黙って見ていた。




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