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第8章 清孝の告白

メイドの定年は30歳。
その後ルームキーパーになるか、
お屋敷を出て何をするかは個人の自由。
そう、櫻井は涼子に言った。

「メイドは、自由な時間にそれぞれ勉強してるの。律子も、サラもそうよ。勉強してる内容は様々だけど、空いた時間に自分を磨いて、そしてお屋敷を辞めたあと企業したメイドもいるって聞いたわ」
「ほんとですか！？」

ほんとよ、と敦美は笑う。

「たぶん涼子も同じだと思うんだけど、私も、律子もサラも、お金が欲しくてここに来たわ」
「…はい」

同じなんだ、と涼子は思う。

「私は…中学しか出てないから、バカなんだけど。でも、本を読むことで色々学べるのが楽しいの。だから少しずつお金を貯めては買って、読んでたらこんなになっちゃった。ご主人様から貰ったものもあるのよ。海外に行かれた時とか、いっぱい買って来てくださるの」

そう言って、敦美は手元にあった本を撫でた。

「はじめはね、お金を頂いてるのに自分の時間に使うのは気が引けたの。だけど、旦那様も貴俊様も、本に夢中な私を応援してくださるの。だから間違ってはいないんだと思うわ」

だから涼子も自分がやりたい何かに熱中して良いのよ

そう言って、敦美は綺麗に微笑んだ。