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住み込みメイドのエッチなお仕事。
第10章 執着
「…え…今日もですか?」
「はい、涼子さんをご指名でいらっしゃいます」
「……わかりました」

櫻井の執務室を後にして、涼子は大きく溜息をついた。

やだなぁ…

嫌だなんて言える立場にないことは重々承知している。でもそれとこれとは別なのだ。

……やだなぁ…

指名されるのは、まぁ気分的には悪くはない、と思う。どんな理由にせよ"気に入られた"のだろうから。

「はぁ〜」

涼子は再び大きな溜息を吐いた。


2ヶ月程前にあった乱行パーティ以降、涼子を指名するお客様のお越しが増えた。それも複数名。正直なところ、あの時自分を抱いた男の顔を涼子は覚えていない。アイマスクをしていたこともあるが、そもそも顔も声も全く記憶していない。

ともかく複数名のお客様が涼子を指名してお越しになるのだが、その中にお越しになる頻度がとても高いお客様がいる。

初めは、旦那様がご一緒だった。しかしご主人様方はお忙しい。頻度の高さのせいか、いつからか1人でお越しになるようになった。しかも…一緒に夜を過ごすよう要求してくる。

お客様は、それなりの対価を払ってお越しになる。きっと、大事なお客様なのだろうと思うと、無下になどできない。ましてやメイドの自分。

そのお客様が、今日また、お越しになると言う。

やだなぁ……

夜がとても怖かった。

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