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住み込みメイドのエッチなお仕事。
第10章 執着
大学に向かおうと思い屋敷を出る途中、ふと思い立って昭彦は裏庭に足を向けた。そして、以前と同じ木の木陰に座る涼子を見つけた。

いた…

歩く速度が早まったのは気のせいだ、久しぶりに見たから脅かしてやろうと思って…そう考えること自体が言い訳染みている、と昭彦はわかっていた。

近寄ってみると、涼子はメイド服を着ていなかった。私服姿で空を見上げている。



数メートルの距離にまで近づいた昭彦に気づく様子すらない。手元に本を持っているわけでもなく、ただぼうっとした様子に昭彦は眉を寄せた。

「何してんだよ」
「…あ…っ、昭彦様」

目の前まで来て昭彦が声をかけたことで、やっと気が付き涼子の瞳に光が宿る。けれど、ほっとしたような綻んだ涼子の表情には力がない。

「久しぶりじゃん」
「あ…はい」

なんだ…?

違和感を覚えて昭彦は眉を寄せる。
昭彦の表情に何かを感じたのか、涼子は慌てて姿勢を正した。

「す、すみません!ちょっとぼうっとしてて」

違う、そうじゃない

「お前…なんかあったか?」
「……いえ」
「出迎えにも来ないじゃん」
「申し訳、ございません……お客様が、いらっしゃってて…」

次第に伏せられていく顔。一瞬見えた泣きそうな表情に昭彦はチッと舌打ちをした。

なんで私服なんだよっ

抱きしめたい衝動を耐えるための舌打ちも、涼子は昭彦の不興を買ったと思ったのだろう、胸の前で手を組みびくりを身体を竦めた。

ちがう、そうじゃなくて…

思わず伸ばしかけた手を昭彦は途中で止めた。私服のメイドには手を出してはいけない、けれど今、どうしようもなく抱きしめてやりたいと思う。それほど、涼子の表情は儚げに見えた。

「悪い。怯えさせたいわけじゃ、ない」

昭彦の言葉に顔を上げた涼子は、けれどやはり怯えた顔をしている。

顔色悪い?

「疲れてんのか?」
「いえ……いえ、はい、少し」

問いかけに涼子は一旦首を振り、間を置いて頷いた。

「でも、昭彦様とお会いできて、元気でました」
「……」
「大丈夫です。ありがとうございます」

そう言って笑顔を浮かべた涼子は、いつもの闊達な雰囲気で。昭彦は言いかけた言葉を飲み込んだ。





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