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ポン・デ・ザール橋で逢いましょう
第1章 其の壱
その夜、忍はやや緊張しながら二階の百合子の部屋に向かっていた。
…手にしているのは早咲きの純白の百合の花だ。


夕方の散歩を終え、ジャックの脚を洗ってやろうと裏庭の井戸に向かっていると、仕事を終えた庭師が戻って来るのが見えた。
庭師は気の良い笑顔で帽子を取った。
「坊ちゃん、こんにちは。また背が伸びましたね」
樵のような風貌の庭師はしかし、とても繊細で卓逸した腕を持ち、難しい輸入花を咲かせ、数々の希種の花々をこの地に根付かせた。
ホテル・カザマの庭園も全て任されている腕利きだ。
「こんにちは」

…そのまま行き過ぎようとして、ふと気に掛かっていた疑問を口にした。
「…ねえ、南の庭園の白百合はもう咲いたかな?」
庭師は意外そうな顔をした。
「南の…?ああ、マドンナリリーのことですか?」
「へえ…。あの百合、そんな綺麗な名前なの…」
…聖母の百合…か…。
清楚で優しげで…義姉さんにぴったりだな…。
忍は思わず微笑む。
「ええ。本来は6月くらいに咲く花なのですが、今年はなぜか早咲きでしてね。もういくつか咲いてます。
それはそれは綺麗ですよ。坊ちゃんもぜひ見に行って下さい」
自慢げに笑う庭師に、忍は頼んだ。
「ねえ、お願いがあるんだけど…。
その百合、一輪貰えないかな?」


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