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ポン・デ・ザール橋で逢いましょう
第1章 其の壱
忍は百合子の身体を抱き込むと、そのまま寝台へと横たわった。
…百合子が兄を亡くしてから六年近く経つ。
恐らくは最後に兄に抱かれて以来、初めて男と同衾したのだろう。
百合子の白綸子の寝間着に包まれたか細い身体は一瞬、大きく震えた。
「大丈夫だよ。何もしないから…」
忍は優しく囁くと、百合子の艶やかな髪にキスをした。
…百合子の髪からは、その名の通り白百合の幽かな薫りがした。
「…何もしないから…こうして抱きしめさせてくれ…」
呟くように懇願すると、百合子は小さく頷き、震えながら…それでもしっかりと忍の胸元に縋り付いて来た。
その華奢な背中をぎゅっと抱きしめる。
「…義姉さん…。…やっと、俺のものになったんだね…」
「…忍さん…」
…百合子は泣いているようだった。
忍の胸元が温かな涙の雫でしっとりと濡れ始めた。
堪らずに忍は百合子の貌を両手で持ち上げる。
黒目勝ちの美しい瞳は、水晶のような涙が溢れていた。
「…泣かないで、百合子…。これから俺が君と司を守るから…。二人を幸せにするから…」
百合子の瞳が切なげに細められ、その薄紅色の唇が震えながら開かれた。
「…忍さん…。私は…貴方の人生を台無しにしてはいないでしょうか…私は…貴方の輝かしい未来の枷になってはいないでしょうか…」
忍の形の良い眉が顰められ、怒ったように告げる。
「馬鹿なことを言わないでくれ。…俺は百合子と生きていきたいんだ。…百合子と司と三人で幸せになりたいんだ」
「忍さん…!」
感極まったように見上げる百合子の貌を引き寄せ、熱く囁く。
「…百合子、愛している…」
百合子の柔らかな唇は、忍に情熱を込めて奪われる。
若い男の激しくも濃密な愛のくちづけに、百合子は気が遠くなる。
終わりのない愛の言葉と共に…愛の蜜と息吹を吹き込まれながら…。
…百合子が兄を亡くしてから六年近く経つ。
恐らくは最後に兄に抱かれて以来、初めて男と同衾したのだろう。
百合子の白綸子の寝間着に包まれたか細い身体は一瞬、大きく震えた。
「大丈夫だよ。何もしないから…」
忍は優しく囁くと、百合子の艶やかな髪にキスをした。
…百合子の髪からは、その名の通り白百合の幽かな薫りがした。
「…何もしないから…こうして抱きしめさせてくれ…」
呟くように懇願すると、百合子は小さく頷き、震えながら…それでもしっかりと忍の胸元に縋り付いて来た。
その華奢な背中をぎゅっと抱きしめる。
「…義姉さん…。…やっと、俺のものになったんだね…」
「…忍さん…」
…百合子は泣いているようだった。
忍の胸元が温かな涙の雫でしっとりと濡れ始めた。
堪らずに忍は百合子の貌を両手で持ち上げる。
黒目勝ちの美しい瞳は、水晶のような涙が溢れていた。
「…泣かないで、百合子…。これから俺が君と司を守るから…。二人を幸せにするから…」
百合子の瞳が切なげに細められ、その薄紅色の唇が震えながら開かれた。
「…忍さん…。私は…貴方の人生を台無しにしてはいないでしょうか…私は…貴方の輝かしい未来の枷になってはいないでしょうか…」
忍の形の良い眉が顰められ、怒ったように告げる。
「馬鹿なことを言わないでくれ。…俺は百合子と生きていきたいんだ。…百合子と司と三人で幸せになりたいんだ」
「忍さん…!」
感極まったように見上げる百合子の貌を引き寄せ、熱く囁く。
「…百合子、愛している…」
百合子の柔らかな唇は、忍に情熱を込めて奪われる。
若い男の激しくも濃密な愛のくちづけに、百合子は気が遠くなる。
終わりのない愛の言葉と共に…愛の蜜と息吹を吹き込まれながら…。