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愛のシンフォニー
第2章 美樹
「い、いや、それはダメだ。君は布団で寝ていいから、僕はこっちで寝る」

すぐにでも飛びかかってしまいたい衝動を抑えて徳造は段ボール箱とかを並べて布団との間に境界を作って部屋の隅の方に移動する。

「もう、どうして?あたしってそんなに魅力ないかな」

美樹はがっかりしてちょっと頬を膨らませて布団の上に胡座をかく。胡座なんてかくからスカートの中が見えそうで見えない微妙なアングルになる。

「笑われるかも知れないけど、僕は普通の恋をしたことがないんだ。だから、君とは普通の恋がしたい」

「普通の恋?」

「一緒にいるうちに好きになって、何回かデートして、自然にお互いを求めてキスをして・・そんなキレイなセックスがしたいんだ。カネのためにババアに体を売るような僕にはそんな資格はないんだろうけど・・」

ーこの時、あたしはとくちゃんのことがピュアでキレイな男性(ひと)に思えたんだ。汚れているのはあたしの方・・あたしなんかがとくちゃんの普通の恋の相手になれるのかな?あたしもとくちゃんと普通の恋がしたいよ。でも、本当のあたしを知ったら嫌われちゃうよねー

美樹の顔が紅く染まる。徳造の言う普通の恋という言葉に心を打たれた。

「そっか、分かった。あたしでよければ普通の恋をしようね。でも、絶対セックスはしてよね。それから、とくちゃんって心がすごくキレイだよ。上手く言えないけどさ、ババアに体は売っても心はピュアなまま・・心は童貞だよ。なってあげる、あたしがとくちゃんが初めて愛する女になってあげる」

美樹は満面の笑顔で徳造を見つめる。

「あ、ありがとう。でも、君はどうして僕なんかとセックスをしたいの?こんな僕みたいな男と・・」

徳造の問いに美樹は一瞬黙って俯く。そして、紅くなった顔を上げる。

「バカ、そんなこと女のコの口から言わせないでよ・・女のコっていうのはね、世界で一番大好きな男のコの子供を産みたいものなのよ」

美樹は恥ずかしそうに真っ赤な顔で小声で言った。
世界で一番大好きと言われて徳造も赤くなる。

「どうして僕なんかをそんなに好きになってくれるの?僕たちどこかで会ったことあるのかな?」

「それは内緒よ・・とくちゃんだからかな・・とくちゃんのこと全部大好き。いっぱい、いっぱい大好き」

美樹は幸せそうに言って布団の上に横たわる。


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