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愛のシンフォニー
第6章 ミキティ
美樹が今一番恐れているのは徳造に真実を知られてしまうことだった。
本当の自分が知られれば徳造は自分のことを嫌いになるだろう。もう一緒にはいられない。

だから美樹は震えが止まらない。
ガタガタと震えが止まらない。

「何をしているのだ、ミキティ」

「もう一週間にもなるのに、その男の種を手に入れるのにいつまでかかっているんだ」

「オレたちは気が短い。あまりグズグズしていると何をするか分からんぞ」

男たちは手袋を外して鋭い爪を研いでみせる。
人間のものではない、獣のように鋭く狂暴な爪だ。

徳造は男たちが人間ではないと悟って戦々恐々となる。
そういえば暗くてよく分からなかったが、帽子で隠された男たちの顔も緑や青で耳は鋭く尖ってまるで悪魔のようだ。

「やめて、とくちゃんに手を出さないで」

今度は美樹が徳造の前に立ちはだかって男たちから守ろうとする。

「美樹こそ逃げるんだ」

徳造は無理矢理美樹を後ろに下げて前に立とうとする。

「あたしはどうなってもいい。とくちゃんは逃げて」

「そんなことができるわけがないだろう。美樹は逃げるんだ」

お互いに相手を庇い合う姿を異形な姿の男たちは嘲笑うように見る。

「ミキティ、その男に惚れたな」

「なんだよ~、お前らデキてるんじゃないか」

「だったらとっとと一発でも二発でもヤッてりゃあ、オレたちだって目的を果たしたからこんな手荒なことはしないで済んだものを」

異形の男たちは奇声を発して下卑た大笑いをする。

「なんなら今すぐここでヤレや」

「見られた方が燃えるってこともあるだろう」

男たちはいやらしく笑いながら美樹の服に爪を立てる。せっかくデート用に可愛くコーデした服が破れて白いブラジャーが露出する。

「きゃっ、いや」

美樹は思わず両手でブラジャーが見えないように胸を覆う。

「やめろ、美樹に手を出すな」

徳造が美樹を庇って男たちに挑むが、人間離れした怪力の拳に叩きのめされる。

「君も愚かだね~。君の種を受け入れる器に過ぎないモノを庇って傷つくとは」

「とっととミキティの中にたぎる欲望をぶちまければ終わるのに」

徳造はふらふらしながらも美樹を庇う。

「美樹は欲望をぶちまける器なんかじゃない。これ以上美樹を汚すのはやめろ」

這いつくばって必死に美樹を守ろうとする徳造を見て男たちは笑い転げる。
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