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愛のシンフォニー
第1章 素人童貞
「アガっちゃったってね、女のコにとって中で受け止めるって特別なことなのよ」

女社長はまるで少女のように顔を赤らめる。
不覚にも徳造はその少女のような顔に一瞬恋に近い感情を抱いた。

「ゴメンね、びっくりしたでしょ?」

女社長が服を着ながら不意に言い出した。

徳造は、それはびっくりしたなんてもんじゃないと思っていた。いつも清楚で気品があって、この女性(ひと)だけはカネで自分のことを好きにする汚い女たちとは違うと思っていた。

「あたしったら酔っていたのかしらね。できればこんな形じゃなくてちゃんと結ばれたかった。でも、酔ってキミのことが好きで欲しいという感情が抑えられなかった」

女社長はブラジャーとパンティを身につけてブラウスを着ている。
徳造も無言でトランクスを穿いている。

「あたし、淫乱じゃないのよ。夫じゃない男の人とこんなことするの実は初めてなの」

恥ずかしそうに言う女社長は何だか可愛い。ウブって言葉がよく似合う。

「女にはよく手を出すけどね」

側近の女たちが楽しそうに笑う。どうやら3人とも女社長と関係したことがあるのは間違いないようだ。

「ん、もう・・」
と女社長はうらめしそうに側近の女性たちを見る、
本当に何だか可愛らしい。

「こんなあたしだけど、キライにならないでいてくれる?」

女社長は心配そうに上目づかいで徳造を見る。

「キライだなんてそんな・・」

徳造はおどおどとした表情を浮かべる。
この可愛らしい表情が気に入ったみたいで側近の女性たちははしゃぎ立てる。

「やった~、両想いだ」
「社長、ズルいですよ、こんな可愛い男のコと相思相愛だなんて」
「あたしたちのことも見捨てないでよね」

側近の女性たちにからかわれて女社長は赤くなる。

「本当にあたしのことキライにならないでいてくれる?」
「は、はい」

徳造はおどおどとしながらもそう答えるしかなかった。

「約束よ」
女社長は少し甘えたようにキスをねだる。

再び舌を絡めるような激しいキスをかわしたが、加齢によるイヤな臭いとアルコールの臭いが入り混じってかなりキモチ悪い臭いがした。

女社長から解放されて徳造はボロアパートに向かって歩き出した。

途中で若いカップルと擦れ違った。まだ付き合い始めたばかりみたいで手を繋ぐ仕草さえ何だかぎこちない。


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