この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
愛のシンフォニー
第11章 愛の遺産
ふたりとも殺してやりたい。この世界から抹殺してやりたい。

貴美子は憎い男たちを抹殺してくれる恐ろしい怪物の姿を描いた。涙で紙を濡らしながらも怨念を込めて恐ろしい怪物の姿を描いた。

それから間もなく先輩もプロデューサーもいなくなった。忽然と消えてしまったのだ。新聞やニュースでは神隠しと騒がれた。

警察がいくら捜査しても一切の痕跡は出てこない。
忽然と消滅したとしか言いようがない。

しかし貴美子は確信していた。
貴美子が描いた怪物が本当に現れて憎い獣たちを抹殺してくれたのだと。

貴美子は恐ろしい悪魔のような怪物が夜空を飛んで行く後姿を見た記憶がある。あれは夢ではなく憎い獣を抹殺しに行く怪物の後姿をだったんだと思う。

そして昨夜の夢の中で徳造を襲った怪物はあの時に自分の怨念が生み出した怪物と同じ姿をしている。

何故今になってあの怪物が甦ったのだろう。
しかも何故標的が徳造なのだろう。

貴美子は徳造のことを真剣に愛している。
始まりはカネで買ったにすぎないのかも知れないが、徳造の音楽は貴美子にとって最高の癒し。
優しくて誠実な徳造のことが大好きで愛してる。

こんな歳になって年甲斐もなくそんな乙女チックなことが素直に言える男と出会えるなんて貴美子にとっては奇跡のロマンスである。

貴美子がどこか男性不信に生きてきたのは先輩やプロデューサー・・あの悪魔たちのせいだろう。そんな鎖を優しく壊してくれたのが徳造なのだ。

それなのに、何故怪物は徳造を標的に・・。
貴美子を傷つけた憎い敵を抹殺するために実体化したのではないのか・・。
その答えはすぐに見つかった。

貴美子は本能的に徳造のいる場所が分かった。
徳造を感じているのだろう。頭の中に徳造の奏でる音楽が聞こえたような気もする。

貴美子は本能の赴くままに廃校舎に辿り着いた。
怪物に襲われてここにいるのなら徳造はもう・・。

貴美子は暗くお化けや幽霊が出そうな廃校舎の中を恐る恐る進んで行って保健室まで辿り着いた。

保健室の光景を見た貴美子はまず言葉を失って茫然と立ち尽くした。信じられない光景がそこにはあった。

我を取り戻すと貴美子は涙をボロボロと流して泣いた。

「きゃはは、そういうこと・・きゃはは」

泣くのをやめた貴美子は今度は笑い出した。
/101ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ