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女王のレッスン
第3章 ■奉仕のセンセイ
金曜の午後は大体の場合そわそわして落ち着かなくなるものだけど、今日のそれは程度が違った。
定時を少し過ぎたくらいには仕事を終え、メイクを直して会社を出る。これなら18時半には691に着けそうだ。
外の空気は軽いジャケットを羽織っててもちょうどいいくらい。ビルの合間を駆け抜ける風も秋が夏を追い出すよう。
繁華街のエリアはもう金曜日の夜を楽しもうとしている人たちで溢れ始めている。
その中のひとりになって、雑居ビルの地下へと降りた。
「岩谷さんこんばんは!」
「やあルカちゃん。来ると思ってた」
「みんなに会えたりします?」
「どうかな、瑛二さんと稜はカメラセットしてたけど結衣子さんは難しいかも。ガッツリ衣装だしね。まあどうぞ」
「ありがとうございます」
仕事してきたのに仕事してる時よりずっと元気だ。
流れるようにロッカーに荷物を入れて靴をしまって中に入る。15人程既にいるみたい。
ステージに瑛二さん、その前に固定したカメラの画面を座って見ている稜くんがいるのを確認して近付いた。
「こんばんは」
「おう、来たか」
「お疲れ」
「ルカ、明日の1時2時辺りに8 Knotに行けたりするか?」
「行けるけど?」
「なめした縄を取ってからうちに来て欲しいんだ。頼んでいいか?」
「いいよ。瑛二さんとこには何時に行けばいいの?同行していいならだけど」
「なら3時に来い。4時前には依頼人が来る」
「わかった。持って行く」
「悪いな。じゃあ稜もあとよろしく」
「うん、任せて」
慌ただしく言って、瑛二さんは黒いカーテンの先のドアの向こうへ消えた。
控え室とかだろうか。結衣子さんはあの先なのかな。
思案していると稜くんに「ルカ」と話し掛けられた。