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女王のレッスン
第1章 ■最初のレッスン
18時。道具のある辺りに人が集まり始める。
男女入り混じって15人位。スーツの人、カップル、おじさん、女性、関係なく。私達2人もそれに混ざった。
さっきは気付かなかったけどそこは数センチ高い半径3mほどの半円状のステージになっていて、みんなその周りを囲むように床に座っている。
手の届く位置に降ろされたフック。何をするのかなんとなく想像がついた。
少し照明が落とされて雰囲気は更にアダルト。
そこへ、カナさんがあの格好で登場しステージの上に横を向いたまま正座した。
明るく手を振ってきたあのイメージから一変、妖艶で気怠げ。
そして後から、写真で見た『瑛二さん』が彼女にゆっくりと近付いた。左手に縄を抱えて。
私達の事なんて目に入ってないんじゃないかってくらい自然に、真剣に彼女を見てる。
ステージに上がった彼の全身を見上げた。黒のパンツにグレーのTシャツという普通の格好。背が高くて無駄な肉のない感じは、猛禽類の出で立ちを思わせる。
これから彼女を捕らえて啄むのだろうか。
ライトがスポットに変わった。
彼は彼女の真後ろに立って彼女を見下ろし、左手の縄をパッと床に落として、膝をつき抱き締めた。
縛るんでしょう?なんで抱き締めるの?
思ったのも束の間、今度は首を締めるかのように両腕が巻きつく。
それは緩やかに腕から手首、掌と、首を撫でるように動き、両手が掛かったと思ったらそのまま彼女を上に向かせた。
上下で交わる2人の視線。やがて彼の右手が彼女の大きな目を覆い、手振りひとつで閉じさせる。
はあっ、と息を発して、彼女の頭はかくんと落ちた。
まだそれだけしかしてないはずなのに、高揚感があった。興奮とか欲情とか単純なものじゃない。鳥肌が全身を襲う。
ただ、目が離せない。
彼は彼女の両腕を後ろで組ませ、ステージの縄を手にして縛る。
手首より少し上、結び目が作られ、縄は左の上腕へ。彼女を抱くように胸の上を通り、右の上腕へ。背中を回りもう一周。
何かを囁いているみたい。彼女が小さく声を漏らす。
戻ってきたそれは起点の一本と背の一本を通してぐっと引かれた。彼女の手首が背の縄に窮屈そうに近付いて、背が反らされる。
「あ……」
発した声が自分の物だと気付いて思わず手に口を当てた。
ずっと彼女を見ていた彼の目が、気のせいか一瞬こちらを見た気がした。今の声、気付かれてしまっただろうか。