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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク

遭遇する。彼女の身体が止まり、その出会いに歓喜するように「はあぁぁ」と大きな息が漏れ出た。

「当たり」
「あぁあっ!やっ……だめっ、あぁっ……!」

稜くんが口に含んで貪り出す。
彼女はいやいやするように首を振るけど甲高い嬌声はそうは言っていない。
指で摘んで舌で転がして、蛇みたいに絡みつくその全てに彼女は従順に反応する。

「でも結衣子さん、痛いのも好きですよね」
「え……や、なに……?」

稜くんが手にしたのはネジ付きのクリップ。先端が少し開いてる。
硬く尖った左右のそこに、それを付けた。

「いっ……!ぁ……っ……痛ぁっ……」

背を仰け反らせて彼女は痛みに悶える。抱く麻縄がきし、と鳴いた。

「すぐよくなるくせに」
「違、あぁっ……!」

挟み込まれたそれをまた柔らかそうな舌が這う。痛い一方で甘い。
身じろぎしクリップを揺らして開いたままの口から止めどなく熱い息と声を吐き出していた。

これ、本当に結衣子さん?
目隠し取ったら実は別人とか、そんなことないの?
だって彼女は私の前では凛とした女王で、瑛二さんの隣でだって引けを取らなくて
ステージで縛られても尚その誇りを見せつけていた。
なのに……

「はぁぁっ……」

観衆を見下ろした目は塞がれて、鞭を振り下ろした手は括られて、ぴんと伸ばされていた背は仰け反って、
張っていた胸は痛みと快感に晒されて、凄絶な笑みを浮かべた口は、ただ喘ぐだけ。
息が出来なくなりそうになって、抱くように胸に手を当てた。

「ねだってるよ、ここ」
「やっ、違……」
「違う?」
「ゆる……して」
「嫌だ」
「あああっ!」

稜くんが鼻で嗤いクリップを引いて、手を放す。重力でふるんと落ち、彼女は項垂れた。
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