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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
息を殺して、耳だけを傾けていた。
彼の責め立てる声と時々嘲笑、彼女の喘ぎ声と、水音と、肉がぶつかる音。
ライブAV?とんでもない。生々しさに頭が眩みそう。
自分の名前が出た時は身体が跳ねるかと思ったけど幸いにもバレることはなく、昨日味わったのと別の緊張感で心臓が潰れそうだった。
いつもこんなにお喋りなんだろうか。それともわざと聞かせているのだろうか。
いずれにしてもなんて余計な奉仕精神だ。こっちまで反応してしまう。
だけどいくつかわかったことがあった。
このふたりの関係は前からあって、それはSM的なプレイで、稜くんはSに、結衣子さんはMに徹している。
そこに何か特別な感情が生まれているかはわからないけど。
「やめっ、ん……っあ、も、だ……め……」
「……っいいですよ。でも、イクなら、俺も……」
「あ、あぁ、そこやっ……!稜く……っ!」
「イッて、結衣子さん」
「あぁっ!っ……んぁっ!」
「はっ……あぁ……っ」
ずっと絶え間なく続いていた声が漸くやんだ。
どうやら果てたらしい。
荒い呼吸を繰り返して、どさりとベッドに倒れ込む音が聞こえた。
シーツの衣擦れ。
ティッシュを取る音。
漏れ出る微かな吐息。
それから、
口付けの、甘い音。
「……大丈夫ですか?」
「ええ……」
「縄の跡、残るかな」
「隠せるのは持ってるから……気にしないで」
「……シャワー浴びてきて下さい。ルカ来たら俺出ます」
「ありがとう。よろしくね」
普通に喋るその声が、やはり結衣子さんなのだと知らされる。
ベッドの上を滑る音がして、ひたひたと床を歩いた後ドアの開閉音。
息はまだ潜めたまま、僅かに身体を動かした。出ても大丈夫だろうか。