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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
「もういいよ」
その声に安堵して起き上がり顔を出す。
稜くんは既に下着を履いて、ジーンズに足を入れている所だった。
「信じらんない……」
「先に荷物持っておいで。あっち、置いてあるんでしょ」
続けて何か言いたいのを思い直してぐっと堪え、ソファから降りて荷物を取りに行った。
靴を履いて小上がりへ回り、背もたれに腰掛けるように立つ。自然と腕を組んでいた。
「で、信じらなんないって何が?」
「人に見せつけるみたいなことして」
「ああ」
稜くんはベルトを締めて立ち上がると、ベッドに落ちた麻縄を手繰り寄せ、一本私に投げて寄越した。
思わず手が出る。僅かな抗議が一瞬で不意に終わった。
「燃えたね、色んな意味で」
「ほんっとサイッテー」
仕方なく文句をつけながらも縄を束ねていく。
だけど彼は一切意に介していない様子で、纏めた縄を階段に置き、ベッドメイクを始めた。
「いいスパイスだね。ルカだからいいけど瑛二さんだったら確かに落ち着かない」
「私だって落ち着かなかったよ!」
「でも招かれるまま見に来た。引き返すことだって出来たのに」
乱れたベッドカバーをばさっと整えスプレーも施し、見た目だけは先程までの情事などなかったかのよう。
それから彼は落ちていたシャツを拾い上げ、袖を通す。こちらも何事もなかったみたいだ。
なんとなく腹が立って纏め上げた縄を既に置かれたそこに放った。
「……何かを知れってことでしょ」
他にも聞きたいことは色々あるけど、知らなきゃいけないのはまずそこだ。
見上げる私を見て、稜くんは喉の奥でクッと笑う。
「聡いね。慣れてきた?」
「それなりに」
私の返答に愉快そうに口角を持ち上げ、縄の横に座った。