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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク

それにしても驚いた。生々しさを思い出すとまた顔が熱くなりそうで、頬に手を当てる。
新しい縄を試しついでに、緊縛してそのまま……ってこと?
見たくなかった、って想いは正直ある。
それも稜くんと結衣子さんの関係。よくあの場で何もなかったように対応出来たものだと自分を褒めたい。
だけど、それでも両立させている彼女の姿を知れたという事実は、大きかった。
言われた通り、矛盾を恐れる必要はないのだと。

それにしても前から関係が続いているのだとしたら、瑛二さんはそのこと知ってる?
これだけ近しく付き合いがあるのだから、隠し続けるなんて出来るのかな。
でもふたりは別に恋人じゃないし、そもそも浮気とか言って喚くこともしなさそうだし。
稜くんの口振りからすれば、稜くんと結衣子さんが付き合ってるとかも違う。
それこそセフレ?いやでもそんな軽い感じは一切なかった。

間に縄が、あるから?

瑛二さんは縛る相手を誰であろうと『パートナー』と呼ぶ。
ああやって縛って、縛られての関係をまざまざと見せ付けられると、セフレなんて言葉は適切じゃない。
私と満くんくらいライトならともかく。
ていうかさっきのあれは、所謂『プレイ』?
これまでの自分が普通過ぎてどうなのか本当に想像がつかない。
今日この後のことを見届けたら何かわかるかな。

電車に乗り込んだ。割と早めに着きそうだから、瑛二さんに一応連絡を入れる。
どうせ返事も禄にないんだろうけど、とひとりごちて地下鉄の窓に映る自分を見た。
外見だけならどこにでもいる普通のOL。のはずだ。
中身だって、大学出て入社して彼氏作って、適当な所で結婚して子供産んで、なんてものを漠然と思い描いていた、はずだった。
それが見事に崩れ、そういうことや関係性に拘らない人たちと休日を過ごしてる。

価値観が変わってく。楽しい半面少し怖い。どちらにも適応しづらくなる瞬間が来るんじゃないかって。
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