この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
瑛二さんの所の最寄り駅に着いて地上を目指す。
訪れるのは3回目だ。5分程歩いてマンションの前に着いた。携帯を見ても返信もない。
エレベーターで上に上がりドアの前、インターホンを鳴らす。
「はい」
「遥香です」
「早かったな」
数秒後にドアが開くと、シャツにスキニー姿の瑛二さんが顔を覗かせた。
いつもより綺麗め。お散歩仕様なのかもしれない。
「はい、おつかい」
「ありがとう。悪かったな」
差し出した袋を受け取り、そのまま中へ入っていく。
「鍵はー?」
「よろしく。ああ、お前イヤホン持ってるか?」
「イヤホン?あるけど」
後を追って部屋に入った。相変わらず生活感がなくて静か。
デスクにパソコンと家電量販店の袋と空き箱やケーブルが拡がっている。
「今日は俺と依頼人がデートしてるのを後ろからお前がついてくるだけでいい」
瑛二さんはパソコンに視線を落としながら説明を始めた。
「そうなの?それでなんでイヤホンが……」
「会話聞こえた方が面白いだろ。会話の必要はない。俺が装着してるマイクからの音声聞いてろ」
「何時間くらい?携帯持つかな」
「外にいるのは精々2時間だな。充電するならしてくといい。モバイルバッテリーもあるしWi-Fiもそこにある。設定する?」
「うん」
携帯を出して電池を見る。残量は92%だったけど念の為ケーブルを繋いだ。
Wi-Fiの設定を済ませて瑛二さんを見ると、何やら真剣にモニタに見入ってて、私の視線に気付き目だけこちらを向く。
「終わったら後で接続テストだな」
「わかった。瑛二さんは何してるの?」
「昨日の写真と映像チェック」
「え、観たい」
「言うと思った。こっちこい」