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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
頬杖をつきながら瑛二さんは嬉しそうに目を細める。
この日はお店がある結衣子さんたちと仕事があるといった瑛二さんと早々に分かれてしまったから、大した話は殆ど出来なかった。
でも、話したい割に上手く話せない気もする。
「稜くんも一緒になって作ってたんだ。なんか意外」
「撮影に駆り出したことが結構あるからか元々鋭いのか、こっちのやりたいことを汲んでくれるんだよ。かなり優秀でね」
「そうなんだ……。こういう演出は瑛二さんが考えるの?」
「基本はな。ユイくらい慣れてると口出してくるから一緒に考えたりもする。鞭振るって言い出したのあいつだよ」
「あれ凄かった。みんな息詰めてて一気に切り裂くみたいな」
「呼吸をある程度シンクロさせた後にそれを読んでんだ。息を吸う手前の一番油断する瞬間を狙ってる」
「へぇ……あっ」
息を吸う手前、と言われて691で結衣子さんに縛られた時の事を思い出す。
「どうした?」
「うん。縛られた時にそれあった。息吸う時に後手取られたの」
「そうか、覚えておくといい。緊縛する時にも使えるぞ」
覚えておいたところで出来るものなのか、聞こうとしたけど彼の手は動画を追いやって画像を出した。
瑛二さんが撮った、結衣子さんの写真。
なだらかな曲線を描く肢体。結び目のアップ。自由を奪われた手足。悦楽に浸る瞳。背徳に息を漏らす唇。
そんな長時間撮っていた訳じゃないはずなのに、こんなに撮っていたなんて。
「……綺麗」
「ありがとう。本当は舌を出した瞬間を撮りたかったけどあれは無理だな。俺の目が片目だけカメラになったらどんなにいいか」
「サイボーグだね。SFの世界みたい」
思わずくすくすと笑いを漏らしたけど、瑛二さんは目を伏せて息を吐く。
すぐに笑えなくなった。多分本気でそう思っているんだ。