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女王のレッスン
第1章 ■最初のレッスン
「遥香ちゃん?」
柊平に声を掛けられて、ハッと顔を上げる。
照明が元に戻り、カナさんはステージの上で寝転がっていた。
「大丈夫?」
「あ、うん……なんか、……ぼおっとしちゃった」
「ね、凄かったね」
なんだろう、この感じ。映画で物凄く感動した時とかにも近いけど。
ていうか今、私、濡れてしまってる……。
「この後講習に参加される方で、パートナーがいない方はいらっしゃいますか?」
『瑛二さん』はカナさんの頬に手を当てながら、低いけど張りのある声でステージ周りの人達に聞く。
「あ、僕いないです」
「わかりました。カナ、いけるか?」
「いいよー。服着てきていい?」
「ああ、何分要る?」
「15分」
「では講習はここで、15分後からとします」
彼の号令でその場は一旦お開きになった。
「……柊平、私お手洗い行ってくる」
「うん。何か飲む?」
「ウーロン茶お願い」
ピンクのカーテンを左に見ながら突き当りを右に。
その先は更に左右で男女に分かれていて、また右に曲がる。
漸くトイレの個室に入り、鍵を掛けて息をついた。
一体なんだったんだろう、さっきのは……今も少しドキドキが続いてる。
思ってた感じとなんか違う。もっとこう、荒々しかったり女の子が苦しそうにしてたりするんじゃないかって。
ついでにロウソク垂らしたり鞭使ったりするんじゃないかって。
なのにあれではまるで、ただ縛ったってだけで、殆どセックスみたいじゃない……?
混乱しながらパンツを下げたら、自分の現状に今度は嫌悪。
……おかしいな。私案外Mなのかな。それとも縛ってみたくて濡れたのかな。
仕方なく応急処置でなんとかし、用を済ませて個室を出る。
手を洗って鏡を見たけど、なんだか自分じゃないみたい。
頭がわーっとして乱暴に拭いたペーパータオルをゴミ箱に放り踵を返した。
ら。
「あ、さっきの子だー」
妖艶に魅せた雰囲気をまた一変させた
「……カナさん」
ステージの彼女がそこにいた。
「『ちゃん』でいいのにーい。見てた?どうだった?」
近付いてきて両手を取られたじろぐ。
格好に、その胸に、何よりギャップにドギマギする。