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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク

「なんだ。呆けて」
「あっ、ううん……『S転』って言うんだ」
「そう。逆は『M転』でこっちの方が多い」
「嫌じゃ、なかった?」
「嫌?なんで?」
「だって、付き合ってはいないにしても、それに近い仲ではあったって」
「別に。驚きはしたけど問題があるとも思えなかったな。一緒でも離れてもお互いその辺は不可侵だったし」

瑛二さんの想いも読めない。
昨日はあれほど近い距離で、紛れもなく『ふたり』として存在していたのに。

「……今も?」

コーヒーをひと口飲んだら、ぽつりと落としてしまった。

「何がだ?」
「不可侵て」
「変わらないね」
「じゃあ結衣子さんが誰かとしてても平気、なんだ?」
「俺がしてる以上止める権利なんかないしそもそもそういう関係じゃない。どうした。急に?」
「独占欲とか、ないのかな、なんて」

悟られないようにするのにごまかして言ったひと言に、瑛二さんは軽く鼻で笑う。
カップに口を付けて「そうだな」と呟いた後、思考を巡らせるように目を薄く伏せて

「ないって言ったら嘘になる。でもあるって言える程独善的にはなれない」

首をひと振り、してやっぱり微笑んだ。

「……なんか狡い」
「知ってるよ。博愛主義だっつったろ」
「私、まだわかんないもん、想ってても他の人と出来ちゃう心境。『したかった』ってのだけはわかったけど」
「それがわかるならならいずれ辿り着くよ。傷付きたくて、どうしようもなくて、相手が愛しくて。色んな理由で抱くし抱かれる。俺の場合仕事ってのもある。だけど『寂しかったから』って理由だけは俺は許さない」
「なんで?よく聞く理由だと思うけど」
「じゃあ課題だな。それだけに限らずもっと色んなことを考え続けろ。思考を止めるな。それは知識になり憂いになる」

スツールをこちらに回して身体ごと私を向き、瑛二さんは強く言う。
結局答えは曖昧なままだ。はぐらかしているつもりはないのかもしれないけど。


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