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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
「……わかんなくなったら」

わからないことだらけだ。
だから今は見聞きするしか出来ない。

「ん?」
「また聞くから、教えて欲しい」

私もスツールを瑛二さんに向けて相対した。
すると彼は笑って「殊勝なことだ」と満足げに言った。

インターホンが鳴る。
時間は4時前。

「チカ来たかな」
「チカさんていうの?」
「ああ、千の影で千影だからチカ」

いよいよだ。初めて会う、瑛二さんに依頼をしてくる女の人。

「はい」
「こんにちは。瑛二さん」

落ち着いた声の持ち主が、ドアの向こうで彼を呼ぶ。

「久し振り。ちょっと待ってて」

インターホンを切り、瑛二さんは私に向き直る。

「準備はいいか?」
「もちろん」
「上等だ。待っとけ」

瑛二さんが玄関に向かった。
ドアが開いて、軽い挨拶が聞こえる。そして、迎え入れられた彼女が瑛二さんの後から廊下を歩いて来た。
私はスツールを降り、その彼女を見て

「はじめまして、チカさん。アシスタントのルカです」

初めて自らをそう名乗った。
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