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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
「はじめまして。チカです」
長めの前髪を残して後ろでひとつに纏められたロングヘア。会社にいたら、若い女の子に距離を置かれそうな少しキツい印象の女性だった。
ハイネックのカットソーにジャケット、膝上のフレアスカート。
歳は30歳くらい。普通に会っていたらきっとSだと思った気がする。
緊張感が伺えるけど、プレイ前のそれに過ぎない。
この人がこれから緊縛状態でのお散歩をする、なんて、誰が想像するだろうか。
「話してた新しい目の役。今日の俺達に付いて会話を聞いたり、時々写真も撮る予定」
「そうなの?よろしくお願いします」
キツい印象のその目が笑みできゅっと薄くなって、頬に赤みが差した。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
この後のことを期待している、そんな表情。
「問題なければ緊縛もこいつに見せてもいいか?」
「え?緊張しちゃうなぁ……」
「嫌ならいいけど」
急に彼女に向けられる、熱っぽい視線。瑛二さんのプレイはもう始まっている。
「……嫌じゃない」
「そう言うと思った」
チカさんの背をそっと押して、瑛二さんはラグの方へ促し、デスクの真向かいに彼女を立たせた。
デスクに半分腰掛けて彼女の正面、2mほど空けて見据えている。
「じゃあ、始めようか。チカ」
私はなんとなしにバッグからコンデジを手に邪魔しないようにそちらへ向かう。
西日が差し込む部屋。真横から見ていると、逆光が眩しくて思わず目を細めた。
「服を脱げ」
言われた彼女は一度びくんと身体を震わせた後、ゆっくりとした仕草でバッグを床に置き、俯きがちにジャケットを脱ぐ。
次に半袖のカットソー。ウェストが覗いて、僅かな躊躇いを見せたけどすぐに頭を抜いた。ひとつに纏めた髪がさらっと揺れて背中に落ちる。
両手がスカートのホック、ファスナーと進み、上半身を屈めながらそれを連れて脚を滑らせていった。
はぁっ、と熱い吐息ひとつ漏らし、片足ずつ抜いて下着姿になった頃には、キツい印象だった目がとろんとしていた。