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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
「……何、その顔」
「そのちょっとしたS心がひとりのマゾを女王様に変えたからなぁ」
「え?結衣子さん?」
「そうだよ。口説いてきた男に腹立てて首を齧ったら喘いだんだと。それがS転の一番最初のきっかけ」
首齧ったら……?思わず首に手を当てて視線を天井に巡らせた。
状況なんか全然想像つかなかった。
「それだけ?たったの?」
「そう。でも十分だったって。ほんの一瞬の出来事だよ」
「嘘……凄いね、それで飛び込めるなんて」
「何言ってんだよ、お前も似たようなことしてんだろ」
瑛二さんは変わらず楽しそうにして肩を竦めて見せる。
「……そうなるの?」
「粗削りだけどな。相手の願望に気付いてしてあげたいと思ったのはお前が元彼にしたのと一緒。でも今回そうしたいと考えた理由がわかったならちゃんと見えてる証拠だと思うよ」
手振りで『どうだ?』と問われて目を瞬かせた。
視界の端、画面に映るテーブル越しのチカさんの矛盾。私が輪郭を捉えた瞬間。
「……自信持っていいってこと?」
上目がちに聞くと、猛禽類は満足そうに見て嗤う。
「ちょっとだけな」