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女王のレッスン
第4章 ■仕事のケンガク
持ったグラスで示した先には、691より遥かに種類の多い道具の数々。
麻縄、手錠、首輪、ボールギャグや各種鞭に蝋燭なんかも見えていた。
「お客さんに使ったりもする、んだよね?」
「それもあるし、ショーやM女でも。はい、ティフィンソーダ」
「ありがとう」
グラスを出されたけど口を付けずにもう一度結衣子さんを見る。
話もしなければ責めもしない。ただ黙ってその人の背に座っているだけ。
なのにその彼はトランス状態。
「来てからああなる前に何かしたの?緊縛とか露出とか」
「靴舐めたくらいかな。その後椅子になりたいと言い出した」
「はぁ……それだけで、今の」
「こう言ってたよ、結衣子さん。『ちゃんとお願いも出来ないの?』」
言葉の響きにまた土曜日の光景が蘇る。
今言うのかと驚いて稜くんを見たら、片方の口角を上げてにやりと笑った。
「……へぇ」
「あの後平気だった?お散歩」
「ええ、まあ、お陰様で」
半ば棒読みで答えた所で、稜くんがプレイ中の彼らの方に目配せし、止まった。
一緒になってそちらを見ると、結衣子さんが稜くんを見ながら、鞭を持った右手の指をスッと横に振る。
「後で聞かせて」
言うと稜くんはカウンターから出て、カーテン脇、ドア側のボックスを開け操作した。
戻ってくると同時に静かにカーテンが開いていく。そこには二面とも鏡が貼られていた。
こちらからは見えてなかったけど首輪も繋がれていて、その鎖の先は上に座る彼女の左手に握られている。
彼女は鎖をじゃら、と鳴らし、彼の身体を跳ねさせた。この後のこと、なんとなく想像がつく。
きっと彼女は、彼の顔を……