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女王のレッスン
第5章 ■努力のタマモノ
「いつもどうしてる?」
「……あんましない。しても、適当」
「惰性でするな。どうしたら気持ちいいか考えてするようにしろ。例えば摘む」
「ふ……」
「叩く、さする、上下か、左右か、円か」
「……んっ」
「1本、それとも2本」
言葉通りに指が動き、足されて、足の指先まで力んで快感に耐える。
こんなの知らない。こんな私、知らない。なんなの?
「挟む、細かく振動、揉む、それから、捏ねる」
「ひっ、ぁ……」
「声を出すな」
艶っぽい低音が耳に直接流し込まれて、頭がくらくらして何も考えられなくなる。
ただ、イキたい、以外。
自分の身体なのに、自分のものじゃないみたいだ。
「皮を剥いて空気に晒すと感度も増す。焦らしてもそうだ。この辺は自分で時間かけて探せ」
「は……」
「捏ねるのが好きそうだな。じゃあ後は、委ねろ。俺に」
自分で適当に済ませていたそれとは比べ物にならないほどの、腰が抜けてしまいそうな快感の波。
声が漏れそうになって手で口を抑えた。瑛二さんは時折彼らに目配せしながら私のその手も緩めない。
そして次第に掴む、絶頂への糸口。「やだ」と意図せず口をついて出た。
「いいよ。声だけ気を付けろ」
指の動きが僅かに早くなって、首を横に振った。掴んでしまったらもうそれしか考えられない。イッちゃう。こんなとこで。
まさかの、瑛二さんの手で。
「あぁっ!シン、さっ……」
ひと際甲高く喘いだベッドの上の彼女の声の影で
「いっ……!や……っ」
限界まで押し殺して、それでも零れた。びくつく腰でソファが軋まないようにそれも堪える。
絞り出すように息を吐き、唇を噛んだ。瞼の力を抜く頃、律動を抑えていた瑛二さんの手が引き抜かれる。
静かに繰り返す荒い呼吸。恐る恐る横を見ると、瑛二さんは確信的な笑みを湛えて濡れた指を自分の口に運んだ。
「……っんと、サイッテー」
「知ってるっつったろ」
正面を向く。彼らも終わったようだ。誰にも顔を見られたくなくて「お手洗い」と言ってソファを立った。
瑛二さんの息がふっと漏れるのが聞こえた。