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女王のレッスン
第5章 ■努力のタマモノ
最近仕事上の細かい取り零しが増えてきていたのは気が付いていた。
数字間違い、伝達ミス、アップデート忘れ程度なら、ちょっと謝れば済んでいたけど、至急案件の対応漏れはさすがに上の人を謝らせるにまで至ってしまった。
水曜日。昼前に呼ばれた別室でお説教を喰らい、情けなさいっぱいで出た所で、ちょうど他の部屋でミーティングを終え笑いながら出てきた柊平と目が合った。
後からすぐに数人出てきて、何、ということはなかったけど、自己嫌悪が増して逃げるようにその場を離れ、真緒を誘い出しランチに向かう。
「奮わないね、色々」
勢いよくパスタを食べる私を呆れるように見ながら彼女が言った。
頭の中にあるのは、惰性で仕事をしているなぁ、という自分の現状と、自分を生きている人たちの姿。
向いてないんだろうか。今の仕事。
「……仕事に情熱を持てなくてさ」
「情熱ぅ?あたしだって大してないよ、特に今の上に変わってから。せめて異動したいなぁー」
そんなもんだよな、と思う。普通なら。毎日満員電車に乗って、なんとなく仕事して帰ってた。
だけどそれが最近は、仕事の後のほうがメインになっている。
「でも最近遥香雰囲気変わったよねぇ」
「そう?どこら辺?」
「まず服でしょ、垢抜けたっていうか」
「ああ、そうだね。変えた」
それは意識的に変えるようになった所。結衣子さんに着せ替えされてから自分でも調べて、試着もちゃんとするようになって、似合わないものは一掃したら部屋までスッキリするようになった。