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女王のレッスン
第5章 ■努力のタマモノ
そうか、スワッピングだから、相手の交換。だけど本当にいいのだろうか。コウさんは妻のそういう願望に不満を感じたり、とかは。
壁際のシートに座ると店内が見渡せる。単独男性が圧倒的に多いその中で、彼らの視線が更衣室の方向へ無遠慮に向けられた。
スタイルのいい身体に纏ったピンクのベビードール姿を惜しみなく衆目に晒し、アヤさんが堂々と歩いてくる。その後ろからコウさんが彼女の肩を抱き寄せ、こちらへ来た。
「わーお。可愛いね、アヤさん」
「ありがとう、満くん」
笑って言うと、彼女は躊躇いなく満くんの膝の上に腰を下ろして肩に手を回す。コウさんはふむ、と頷いて私の隣。
「重いかな?でも君意外にガタイいいのね」
「鍛えてるから平気。ほんと可愛いなぁ、新規ってここはってこと?他にも遊んだんじゃない?」
「ううん、本当に初めて。私はただの享楽主義者。気持ちいいこと大好きなの」
満くんがすっかり悪そうな顔になって、彼女の腰に手を回した。私がコウさんの顔を見上げると、彼は曖昧に私に笑いかける。
「……いいんですか?本当に?」
その顔の意図を図りかねて問うと、「一理あると思ってね」と小声で返ってきた。
「俺と彼女は全然視点が違う。突拍子もない事を言われるとちょっとそれに付き合ってみたくなる。結婚するってことは本来婚姻関係が継続している間はその相手以外とセックスしちゃいけないってことだ。それをこういう形で呆気なく覆すなんて面白くない?」
「ああ、そっか。結婚がなければ不倫とかもないですもんね」
「うん。それに雄は生物的にも種を多く残そうとする傾向があるし、俺にもそういう願望がないわけじゃない」
「なるほど……」
それ以外に言葉が思いつかなかった。変わり者の夫はやっぱり変わり者。真面目だけど、真面目な理屈をつけて不真面目に加担する。
「ルカちゃん、コウさんとキスしてみなよ」