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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
「へえ、話出来たのか」
瑛二さんの足の指に飾り縄を施しながら、昼のことを淡々と告げる。
「うん。話せて良かった。ずっと残ってたの気になってたから」
「イイ奴じゃねえかシューヘーくん。どっかのアシと違ってちゃんと考えてる」
「私だって考えるようになりましたー。どっかの緊縛師が手厳しいしー」
「おいその人差し指のとこそれ以上締めるな。あと間隔も均等に。飾り縄なのに見た目が悪くなる」
こと緊縛となると更に手厳しい。でも飾り縄は見た目も綺麗だから結構好きだと思った。
思い思いの形に出来るのも魅力だし、達成感がある。
「結衣子さんの話を聞いてなかったら、無力感で卑屈になってここ来れなかったかも」
「あらそう?脱いだ甲斐があったわ」
結衣子さんが隣で巻縄の処理をしながら嬉しそうに言った。
今日は珍しく稜くんが縛られてる。その形を見て思わず手が止まった。
首に掛けた縄と胸の下で組んだ手首に掛かった縄が繋がって、巻縄でぴたりと仕上げられている。
「うわぁ凄い。綺麗。っていうか稜くんエロい」
「おー、長さも決まってるな」
「モデルがいいからかしら。上半身裸だったらもっとセクシーかも」
「……羞恥はさせる方が好きなんだけど」
苦虫噛み潰したような顔を露骨にしながら稜くんは呟いた。
「ルカ、俺のバッグからカメラ出せ。撮る」
「はーい」
「いやいや嘘でしょ……」
「やだ待って、撮るならぁ……」
瑛二さんにカメラを渡す傍らで、結衣子さんが抵抗出来なくなっている稜くんの髪に指を差し入れる。
「結衣子さ――」
「動いちゃだーめ。上げてるのもいいけど下ろしてるのも素敵よ、稜くん。濡れてるともっといいけどお仕事中だものね」
こちらがどきりとしそうなくらい際どいことを言いながら彼女は至近距離で髪を整えていく。
いつもの稜くんのソフトなオールバックから長めの前髪が下り、目が少し隠れた。
隙間から覗くそれがまた色気を醸し出す。瑛二さんはそんな様子にすらシャッターを切った。