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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
向こうからふわふわしたランジェリーに身を包んだカナちゃんが歩いてくる。奥のテーブルには数人のお客さんとスタッフの人たち。
縄を持って笑顔で彼女を迎えた。
視界の端には結衣子さんが見守るように座ってる。
緊張感や不安がないと言ったら嘘になる。だけど今は、カナちゃんにそれを見せちゃいけない。
彼女の全責任を今、私が背負うのだ。
「カナちゃん」
手を広げた。きょと、としていた彼女の目が緩んでその身体ごと飛び込んできた。
初めて彼女を抱き締めた時に感じた、甘いわたあめみたいな香り。
深呼吸が出来て緊張感も溶けていった。慣れって大事だ、確かにとても安心する。
解放出来るといいな。何度も縛らせて貰って、励まして貰って、凄く凄く救われたから。
「私の最初のパートナーになってくれる?」
「もちろんだよ、ルカちゃん」
その天真爛漫さがとても愛しくなって、おでこにキスを落とした。
驚いた表情は一瞬、笑顔を返されて笑い合ったのも一瞬、視線を変えて、彼女を見下ろす。
「……っ」
僅かに眉根が寄ったのを見逃さず呼吸を読んだ。吐き切ったタイミングで肩に触れて軽く押し「座って」と告げる。
すとんと膝が落ちたのは、彼女の緊張が少し取れたせいだろうか。
背後に回って両肩に触れる。人の体に触ることを怖がっていた頃が嘘のよう。肩から腕へ流し、また呼吸を読んで後手を取った。
抱き締めるように左腕から縄を回しカナちゃんを抱く。彼女を全て包むように。『大丈夫だよ』って想いが伝わるように。
「痛くない?」
「へー、き……」