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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
彼女のバックグラウンドには一体何があるのだろう。
傷付いたり、絶望したり、期待したりして、この店に辿り着いた彼女には、果たして。
私が最初にここに連れて来られた時、結衣子さんは瑛二さんにこう言っていた。
『また女の子拾ったの』と。カナちゃんのことだと考えていいはず。
息を止めて縄を引き、縄尻を纏め上げる。次いで足し縄。彼女を抱く手を増やすように。
「は……」
綺麗に胸が張り出した瞬間カナちゃんから熱い息が漏れて、嬉しくなった。
大丈夫、全部受け入れられる。だって今の私は、彼女の奴隷だ。
委ねればいい。喘げばいい。必要なら、泣いたっていい。
「……もっと欲しい?」
それは別に加虐心じゃなくて、彼女の望みを叶えたいその一心だった。
潤んだ瞳を私に向けて、彼女は首を縦に振る。またひとつ、嬉しさが込み上げる。
左脚、右脚。見様見真似の梯子を施して綺麗にした。後ろで括り付けて開脚させ、最後の縄尻を処理する。
「カナちゃん」
「っあぁ……」
俯いていた彼女の顎をくいと持ち上げた。目尻に溜まっていた涙が瞬きで落ちて、堪らず掬い取るようにキスをする。
はあっと吐いた自分の息の熱さと昂揚感に驚いて、たちまち床に座り込んでしまった。
我に返って辺りを見渡す。全然目に入って来なかったみんなの中から、瑛二さんがスツールから立ち上がって向かってきた。
「こら、解くまでが緊縛だろうが」
軽くぺしっと頭をはたかれ、背筋を伸ばす。だけど、口調と行動の割には瑛二さんの表情は柔らかかった。