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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
「ごめんなさい、なんか急に、気が抜けて……」
「まあそういうこともある。今日の所は十分だ。カナ、大丈夫か?」
「……だい、じょーぶ……」
「解いたらルカと裏行って休め。いいな」
諭した瑛二さんに向かってこくりと首を縦に振るのを見て、私は彼女に施した自分の縄に手を掛ける。
「瑛二さん、私……」
「後で言うよ。今はこっちに集中しろ」
言われてそれ以上の言葉を飲み込みひたすら手を動かした。
最後まで解くとカナちゃんはゆっくりと立ち上がる。
瑛二さんがその手を取ろうとしたけど、彼女は笑って「大丈夫だから」と私の手を取った。
「振られたわね、瑛二くん」
「煩えな。片付けしとくから裏行けお前ら」
「はいはい。案内するからいらっしゃい、遥香ちゃん」
ステージに瑛二さんを残し、結衣子さんについてカーテンをくぐる。
キッチンにも通じるバックヤードのちょっとしたスペースにはミニテーブルとクッションにブランケットがあって、休憩が出来るようになっていた。
カナちゃんは早速クッションに座り、ブランケットを頭からすっぽりと被る。
「好きに使って。キッチンの先に行けばカウンターがあるから、何かあれば声を掛けるといいわ」
「わかりました」
「ポリシー通りね、遥香ちゃん」
「出来てました?私、もう夢中で……」
「大丈夫、自信持っていいわ。心地いい世界だった」
まるで自分のことのように結衣子さんは嬉しそうに笑う。
今もまだ少し信じられない。あのステージでしていたこと、全部。