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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
「ああ、別に深い意味なんてないの。そういうのを見ていて惹かれるものがあったりするのかなって思っただけ」
「もししてみたいって私が言ったらどう思うんですか?」
「特にどうとも。今更な話だし、事前なり事後なりに言われた所で変わらないわね」
自嘲気味に笑いを零して、結衣子さんは高速へ向かう道に入る。
「それとも、『プレイ』は嫌?」
「……多分。確かに技術への憧れはあるし、世界をちゃんと味わったことはないから好奇心もあります。でも『プレイ』って所詮『プレイ』でしょう」
「正直ね。しかも的を射てる。なら言い換えるわ。好奇心や経験としてなら彼に『抱かれてみたい』、かしら?」
料金所の手前、車が少し詰まって減速し、結衣子さんは私を見た。
挑発だろうか、と思ったけどそんな風でもない。
「……そういう衝動に駆られるとしたら、きっと『プレイ』じゃないですね。『抱いて』って思う気がします」
「それは彼の持つ全ての世界を味わうため?」
ああ、そういうことか。これはきっと彼女の純粋な好奇心。
自身の凶暴な雌を飼い慣らしているからこそ、私の中の雌に問い掛けてる。
「……はい」
私の答えも、本能に従った。今その気がなくても、想像を巡らせて。
車はETCのゲートをくぐり、少しずつスピードが上がる。
「もしも、本気で瑛二くんに抱かれたいと思ったら、私に遠慮する必要はないわ。言う必要もない」