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女王のレッスン
第6章 ■孤高のキンバク
着いてちょうど撮影をしているという部屋に入ると、タケさんが小春ちゃんの縛られた胸を鷲掴みにしている瞬間が目に飛び込んできてぎょっとした。
691でドリンクをサーブする姿を一変させた真性サドという彼の目は、以前一瞬だけ見せた加虐的なそれとは比べ物にならないくらい鋭く狼の類を思わせる。
それを撮影する猛禽類も負けてはいないけど、今日は立ち位置がまた異なる。
居場所は地上ではなく木の上。この空間を支配しながら一線引いて見ているよう。
「OK、タケとハル終わりな。ありがとう」
「いーえ。久々で楽しかったよ瑛二さん」
何もしてなかったみたいにタケさんが立ち上がり、私と視線が交わった。
「お疲れ様です。タケさんも絡みあったんですね」
「うん、手が欲しいって言われてね。稜や満よりごつごつしてるから」
拡げて見せたその手は確かに線の細いあのふたりと違う力強さを感じる。
「もう帰るんですか?」
「あと満が終わるまでいるよ。カナと小春も連れて帰るから。聞いたよルカちゃんも撮られるんだって?」
「そうなんですよ。もうびっくり」
「てっきり結衣子ちゃん撮ると思ってたのに意外だったな。彼女どこ?」
「呼んだかしら?」
言いながら結衣子さんが縄の束を手にして部屋に入ってきた。
「タケルくん終わったの?」
「うん。一服して飯喰って満待って帰るよ」
「屋内で絶対に吸わないで頂戴ね。吸うなら縁側。いっそ敷地外」
「わーかってるよ。じゃあね」
軽く手を振って彼は縁側へ向かうと、結衣子さんが私をちらりと見て微笑む。
「今稜くんと満くん下りてくるから早速遥香ちゃん出番ね」
「結局私達でやるんですね」
「そうね、瑛二くんもちょっと休みたいでしょうし」